社会保障協定とは何か?
国際化社会が進むと、国際的に人の移動が活発化するようになり、外国人あるいは日本人労働者が在留先と祖国と二重に年金保険料を負担しなければいけないケースが出てきてしまいます(基本的に日本に在留する外国人も日本の年金加入は必須となっています:特に在留許可の延長等の審査時に日本の年金に加入し、支払いが行われていることがチェックされるようになってきております:これらはマイナンバーから簡単に把握されます)。
社会保障協定は、「年金保険料の二重負担」を防止するため、加入するべき制度を2カ国間で調整する(二重加入の防止)とともに、保険料の掛け捨てとならないために、日本の年金加入期間について、協定を結んでいる相手国の年金制度に加入していた期間と「みなして扱う」とすることにより、相手国の年金をちゃんと受給できるようにします(年金加入期間の通算)。
現在日本では、20カ国との協定を署名済みで、そのうち16カ国については発行しています。
すでに協定が発効された国 | ドイツ オーストラリア
★イギリス オランダ ★韓国 チェコ アメリカ スペイン ベルギー アイルランド フランス ブラジル カナダ スイス インド ハンガリー |
これから協定が発効される予定の国 | ★イタリア フィリピン
ルクセンブルグ スロバキア |
★:イギリス、イタリア、韓国については、保険料の二重負担防止のみとなっています。
例:日本に在留する米国人のケース:アメリカの年金加入・保険料支払い期間8年、日本の年金加入・保険料支払い期間17年
両国の年金制度に加入した場合、それぞれの国の年金を受けるためには、その国の受給資格期間を満たす必要があります(日本は原則25年、アメリカは10年間)
※尚、日本の年金受給資格期間は平成29年8月から10年に短縮される予定です
2005年10月までは、日本とアメリカの両国とも受給資格期間を満たすことがでない場合には、いずれの国の年金も受け取ることができませんでしたが、社会保障協定締結により、日本とアメリカ両国の加入期間の通算が可能となりました。
社会保障協定締結により、日本の年金加入保険料支払い期間17年間とアメリカの年金加入保険料支払い期間8年を通算すると年金受給資格期間が25年となることから、日本の年金受給資格が発生します。同様にアメリカの年金受給資格期間についても10年をクリアするのでアメリカの年金についても年金受給資格が発生します。
尚、通算されるのは年金加入・支払いの期間についてのみなので、実際に受け取れる年金は日本については17年間の支払いに応じた年金額が、アメリカについては8年間の支払いに応じた年金額がそれぞれの国の年金支払いの計算で支払われることとなります(決して日本の支払い金額が17年間分が25年間分に、アメリカの年金支払い金額8年分が10年分になるという訳ではありません)。